※こんなお店が、こんなにも慕われていたなんて・・・・
2019年(令和元年)8月15日:牧之庵はお盆の終わりとともに17年間の幕を閉じ、暖簾が下ろされた。
5月の連休明けから閉店を決めて、ブログ上でもその旨を一旦は発信した。
あまりにもお客様からの有り難い反応を受けて、営業形態を変更(平日営業を取りやめ週末のみで、予約、夜の営業は中止)して今日(8/15)まで延長して、今日のお昼で完全閉店となった。
今年のお盆は、10日(土曜)から始まって15日までの6日間、スタートが早かった事と連日の猛暑日、台風10号の影響に振り回され準備する蕎麦の量が予想できずに参ってしまった。
11.12.13日とお客様が多く来られて、14日には台風の影響で極端に客足が落ちたので15日は少ない予想で蕎麦を準備したが、これまた蕎麦が底をついてしまった。
一旦閉店の看板を出し、追加を打ち直して再び暖簾を掛け替えての営業だった。
それに、これまで平日は営業して来なかったので必然的にお客様が減って来ただろうとの推測上、それなりの構えで盆休みを受け入れた。
ところが、閉店の情報を知ってか? SNSの影響なのか?、まったく予測できない流れの中での6日間、そして今日で暖簾が下りた。
「こんなお店が、こんなにも慕われていたなんて・・・・・・」終わってみて初めて知った。
本当に涙が零れた。これまでの17年間にお客様から頂いた温かい御厚情、商売とは離れて培われてきた人としての触れ合い。
17年の間、開店当初にお付き合い頂いた常連さんで、残念ながらお亡くなりになられた方も大勢いらっしゃるし、ご高齢になられて高速道路をお車で運転ができなくなったり、歩行状態が悪くなられたり、寝たきりになられたお客さんも数え切れないほどになったしまった。
我が南魚沼地域はバブル期と言われし好景気に湯沢町を中心として、この旧塩沢町でもリゾートマンションが林立して、一時期は「東京都南魚沼区」とも呼ばれていた。
牧之庵の開業時は、バブルが弾けて不景気が始まった時期にあった。そんな不安定な世情にあっても、ここまで来れたのは主流のマンションのオーナーさんたちに支えられてのお陰。
最後となるこの6日間中・・・・・・・・・・。
*閉店を聞きつけ、都合を付けて宇都宮から急遽駆けつけて下さったご年配のご夫婦。
*ご高齢になられてお車の運転は止めたが閉店を知って、わざわざ東京から新幹線に乗って湯沢駅からレンタカーでお越し下さったご贔屓ご夫婦。
*釣りが趣味で苗場に宿を取られて、来ると必ずのように45分も掛けて来て下さった神奈川からの常連さん、2日続けてお越し頂いた。
*おいらの高校時代(長岡市にある農業高校)の同級生も、もう何人も駆けつけてくれた。このお盆休み中に2回も長岡から来てくれた友もいる。
*極めつけは、やっぱり牧之庵の閉店日を覆し、今日まで延長する事に大きく左右されたこの人。やはり埼玉は行田の常連さんだ。
苗場にマンションを別棟2部屋を所有し、スノボ、登山、釣りが趣味で一年中苗場に通っていらっしゃる。
お仲間が大勢いらっしゃって、14日はお身内でのご来店、翌今日はお友達大勢をお連れ頂く旨の電話アポ。
冒頭に触れた様に、予測が難しい15日、そんなことで1時20分頃で蕎麦が底をついてしまった。電話を頂いたが蕎麦がない。
「すみません。昨日(14日)来て頂いた時は、あんな状態だったんで今日は駄目だろうと予測して蕎麦を用意したんですが、通常のお盆のような客足でお蕎麦がなくなってしまいました。もし、お時間がおありでしたら、これから蕎麦を打ちますがどうでしょうか?」。
大丈夫とのお返事を受け、2時頃のご来店を約して蕎麦を打つ。
かくして、このお客様が牧之庵最後のお客様となって、牧之庵を締めて頂くこととなった。
※こんなお店が、こんなにも慕われていたなんて・・・・
そば屋でよかった。そば屋を開業してよかった。我が人生に悔いナシじゃ!