幾日も虫歯に呵まれ、やせ我慢の日々を送っていたが、どうにも我慢が仕切れなくなって、今日の定休日を利用して歯医者に行ってきたんだよ。虫歯の進行度は最悪の状態、大きく浸食され殆ど原型を留めていないんだよ。
予約の時間は10時、いつもより念入りに歯を磨いて、観念の治療に向かった。
窓口で受付をしていたら奥さんも出てこられた。「平成5年が最後の治療でしたから、今日は20年ぶりですね」って言われちゃった。
これまでの間、何事もなかったわけじゃないんだね。以前治療して、表面に部材を被せた奥歯が、被いが取れて歯ごと抜けてしまったんだね。
もう暫く経つが、その時も治療に行かず放置していたんだ。
今回の虫歯は、その奥の親不知なんだそうだ。20年も経過したが、その当時のカルテは保存されていて、一目瞭然なんだね〜。
20年ぶりの歯医者、イスに座らせられて一応全部の総点検。
結局、抜歯と相成った。麻酔をして、いざ抜歯、ところが、完璧に虫歯に冒されたために、表面に残った歯が抜歯の器具にうまく掴まれない様なんだね。
掴んで引き抜こうとするが、砕けてしまう。何度か挑戦して、歯茎の部分で引っ掛かった様だ。
ところが、今度は歯茎は硬く、しっかり頑丈そうでなかなか抜けないんだ。何度か挑戦して漸く抜いた。
次回は5日後、痛み止めの薬を頂いて帰宅したが、我慢できないほどではなし、お昼のご飯もしっかり頂いたね。
神経も殺してしまったらしく、冷たい水もしみなくなった。
何のことはない、あんなに我慢したのが嘘のよう、もっと早く行けば良かったは結果論だが、やっぱり早く行けばいかったない。
帰り際に渡された一枚の注意書き、「抜歯当日はアルコールは控えて下さい」と、記してある。
帰宅後は、庭木の剪定、主に徒長枝の切り落とし作業に費やした。
勤めを終えて、ぷらり遊びに来た分家の親爺、ババが生ビールをジョッキに注ぎ、庭のテーブルまで持ってきた。
自分のも含めて3杯?、今日は晩酌は抜きだなと、諦め掛けていた矢先、暑かったから、目先に出された冷たく冷えた生ビール、さり気なく一口飲んだ。
「今日はビール飲んでもいいっぺかな?」、とぼけて一言呟いて見せた。
「ああそうだ!お父さんは歯を抜いたんだったね。飲んじゃだめよ!」、そんなこと言われても、もう半分以上飲んじゃった。
「控えてくださいだから、控え目に飲めば良いんだよ」、屁理屈言って、2杯目を催促した。
嘘のように快適な口の中、頗るビールが旨かった。
昨日までが嘘のようだね。