「師走」、見るだけで忙しそうな文字だ。
師が走る、「師」とは、辞書で引くと「教え導く人」、とある。
高島暦によれば、「一年の事を仕果たす月、年末で師(僧)が忙しく方々を走り回る月」から起因する、となっている。
昔と違って、昨今では生活様式や活動形態が多様化して、特別に忙しく走り回ることもなくなったが、それでも一年の総括の時期として、その年の埃を払い除き、物心ともに綺麗に清掃して新年を迎える。
この地方は、スキー観光が冬期の主要産業となってきた。
一昔前に比べると、スキー人口は著しく減少傾向にあるが、それでも年末年始には、大勢のお客さんで賑わいを見せている。
ところが、その忙しい師走のシーズン頃からは、逆に牧之庵は比較的暇な時期に移行する。
スキー場からは懸け離れ、幹線道路沿いに構えている訳でもなし、降り積もる雪は、視界を妨げ、店の存在すら覆い隠してしまう。
小さな農村の田圃のど真ん中に在る小さな蕎麦屋、本格的に雪が降り込んでから(12月下旬ころ)、降雪が一段落して立春の頃までは、半冬眠状態の中で細々と営業を続けてきている。
それにしても、今年の原油の高騰には参っちゃう。ここに来て、再値上げだそうな。
これから本格的に寒さが厳しくなるってのに、歯止めの掛からない灯油価格の高騰は、半冬眠状態の店に追い打ちを掛ける。
いっそのこと、完全に冬眠するか?、と本気でババと思案することもあった。
だけど、雪が降りしきる足下の悪い中、こんな店にまで足を運んで来てくださる常連さんのことを考えると、そう身勝手な振る舞いできるわけもなし。
あれこれ思案して、断腸の思いで夜の営業だけは、お休みする方向で検討を始めた。
まだ、具体的な事は未定だが、少なくとも、1.2月の2ヶ月間は予約以外の夜の営業をお休みさせていただく事になろうかと思う。
具体的な方向が決まり次第、お知らせ申し上げたいと考えますので、諸般の事情をご理解いただいて宜しくお願いしたいと存じます。
※写真は一昨年の冬(12月中)。牧之庵の入り口にある中之島郵便局、道路脇の雪庇は3メートルにも達し、庇まで届いている。
屋根の雪掘りをしているが、これはまだ序の口で、この後、更に降り続いて庇を超えた。
雪の降ろす場所がなくなり、建物回りの雪を重機で排除した。
勿論、看板や案内標識などは、スッポリと雪の中に埋もれ、道路両面の高い雪庇は、地理感を狂わせてしまう。
こんな状態まで降り積もると、もうお手上げだ!
初めてのお客さんの電話での道案内は、目印が埋まっていて無理ってことだ。