山頂に初冠雪を見て、親爺は冷たい雨が降りしきる中を、最後のクルミ洗いに追われていた。
当初は不作と諦めていたクルミだが、新に探し当てた場所から予想外の量を確保できたし、エリアが広がった分、今後のクルミ拾いに余裕が出来たね。
終わってみれば、一年中使っても余るくらいの量を調達できた。
クルミ拾いで一番大変なのは、藪蚊との格闘。シーズン中に十回くらいは拾いに行くから、半端じゃなく蚊に刺される。それなりの防護はしていくんだが、それでも顔面は無防備で露出してるし、ちょっとの隙間から奴らは襲ってくるから、首筋も恰好の狙われ場所。
この時期は、そこら中が蚊に刺されて、デコボコだらけじゃよ。
テーブルに割って出されるクルミだけ見ていると、どうってことないが、拾ってきてからの後処理が結構大変な作業なんだよ。
暫く放置して真っ黒になるまで表皮を腐らし、水で綺麗に洗って、保存するために充分乾燥させる。
乾燥時期が遅くなると、晩秋から初冬に掛けては晴れ間が少なく、お日様も弱陽になるから、なかなか乾燥しないんだね。
今も、乾燥しないで苦労してるんじゃよ。つまらん話だね。
乾し始めて今日で4日目、連日の雨続き、辛うじて久しぶりのお日様で乾いてきた