昨日の夜の事だが、仕事を終え晩酌の時間、おもむろにテレビをつけた。レトロバスにタイトルを掲げ、女優「中村玉緒」さんが各地域の元気印を訪ねて紹介する番組だが、不揃いの野菜を「逆転の発想」で有効利用してOLにも大変な人気を呼んでいるレストランの話。ご覧になられた方もおられるだろうが、僕は終盤だったので断片的しか見られなかった。オーナーは50歳を過ぎた親爺さんの様だったが、何でも以前は旅館業を営んでいたらしい。
商品価値のない規格外野菜に目を付け、近隣農家の採り立ての新鮮野菜を使って、創造力豊かな一流シェフが創作料理でお客さんを賄う。市販規格から見れば、大きすぎたり小さかったり、形が不揃いで奇形だったりして商品価値は全くないような材料、俗に「ハネだし」だが、野菜として見れば逆で、形こそ不揃いで見た目は悪いが、畑で完熟した物だから野菜本来の特性をいっぱい持っているのだ。「ハネだし」ゆえに、その日によって何が、どんな形で、どのくらいの量が厨房に並ぶかは分からない。その日の野菜達の顔を見てから考え創作する。
量も形も種類も千差万別。同じ料理を個別のお客様には出せないから、いろんな種類のメニューを創作してバイキング形式で対応しているそうだ。テーブルに並んだ日替わり創作料理、お客様が楽しんで好みの料理を選んで食べられる。実にオリジナリテイー、まさに「逆転の発想」そのものだ!農家から教わったと謙遜して語っておられたが、実に素晴らしい発想だね。
野菜農家の奥さん、収入が2割もアップしたそうな。ある農家の奥さんは、嫁いでこの方、初めて自分名義の貯金通帳ができたと本当に楽しそうだった。供給する農家も大喜び、お客さんも新鮮完熟、ホンマモンの野菜を使った創作料理でご満悦、何よりは当のご本人、市販野菜より新鮮で安く入手できる。「逆転の発想」が一石三鳥なりか。
これもあるし日のテレビの一齣だ
最近「愚直」が見直されてきた。古い物、昔からあった物(ある物)、地方の其処しかないものを今見直し生かす。その地方だけにある、其処しかない良さ、魅力を売り物にした「地方からの発信」
今まで新しき事のみ、金銭のみを追いかけてきた社会。しかし近年は「愚直」が見直され、頑固なまでにこだわって成功を収める人がいる。地方の良さは、人真似ではできないのだ。そこで生まれ育ち、そこで携わってきたからこそ、その良さを一番知っているのが現地の人なのだ。
ごく当たり前の事が習慣として見落としがちだが、実はそのことこそ「そこしかないものの良さ本質」なのだと。