何度となくご登場いただく、牧之庵の常連さんのこと。
ギターマニアには、たまんなく堪えられない興味津々の世界だろう。金曜日の夕方、塩沢のマンションに来られ、翌日のお昼に牧之庵で蕎麦を食された。
この後、新幹線で東京行き。事前にギター情報のあった行きつけの楽器屋でマーチンギターを検分するためらしい。
殊の外、カレーライスの好きな旦那は、時々ババの作るカレーが気に入ったようで、先週来たときに催促していった。
蕎麦屋に来て蕎麦も食べずに、カレーライスを催促するとは、普通では失礼な話だが、彼らと牧之庵の関係は、長年の付き合いから常連さんを飛び越えて、お友達化してしまった。
その日の我が家の食事を食べる事も希ではない。そういう時は、一般のお客様の来られる時間帯を外して来られるが、この日の夜も「カレーを作ったからおいで」と、ババが一報を入れておく。
7時過ぎに電話が「間もなく着くよ」、大盛りのカレーライスを一気に平らげた。
徐に外に行ってギターケースをぶら下げてきた。また買って来たようで「マジかよ!」、ケースを開けて中身を拝見した。
既に2本も持っている「D−100」に比べると、螺鈿装飾はすっきりしているが、材質は一味違った趣がある。
中にレッテルが貼られているが、よく見ると「D−45 DELUXE1993」「48 OF 50」とある。
14年前に製作された物で、世界に50本中の48本目ということだ。
何度も、拝見しているから、自ずと理解できるまでになった。
D−100は1千数百万円也、これを2台も所有し、ほかに数十万円から数百万円のギターをゴロゴロ所有、そして今回のD−45DELUXEは、D−100の半値弱だそうだ。
車なら国産車の最高クラス1台分だ。
イヤハヤ、住む世界が違いすぎて言葉もない。
そして今日のお昼、11時前に来た。
「親爺は関係ないから休んでいていいよ」、カレーの残りがあることを知っていて、初めから蕎麦は食べないつもりで来たらしい。
「おい!牧之庵は蕎麦屋なんだぜ、カレー屋じゃないよ、失礼しちゃう」、「カレーライスをメニューにしたらいいんだよ」、まったくの減らず口め!
帰り際に何やらババとこそこそ話。
問い詰めると、再来週の夜に内輪のコンサートを開くんだとか?
「親爺はうるさいから」と、ババと下相談中だ。
「おい!2週もあるんだから、みっちり特訓してこいよ」、またまた親爺の減らず口。
奥さんも上達したようだ。楽しみ、楽しみ。
当夜は真面目に、減らず口は慎みましょうだ。