お昼のこと、ちょっとした団体さんのお越しだった。
「お父さん、ちょっと来て!」ババが厨房に来て促した。
何のことはない、今朝、ババが自分の生けた材料の名を、お客様から尋ねられての援護射撃。
今朝、生ける際に、念を押して教えた筈の「雄山火口・オヤマボクチ」だが、もう忘れてシドロモドロ・・・・・・・。
此奴は、前日のブログで紹介したが、分家の親爺が採ってきてくれたもの。
この団体さんは、昨夜は同市の温泉宿で、同級会をしての流れらしい。牧之庵に上がるなり、一斉に目に付いての質問攻めに、覚えたての材料名など忘れてしまい、ババも焦ったようだ。
お客さんも、やっぱり珍しかった様なんだね。
無理もないよね、僕だって、花だけは昨日初めてお目に掛かったもんね。普段には、あまりお目に掛かれない珍品だからね。
さぞや、以前から知ってる素振りで、自慢そうに説明する親爺が居た。昨日、知ったばかりなのに。
でもね、実に良いタイミング。何しろ此奴は、そばの繋ぎだからね〜。蕎麦屋で生ける材料としては、最高の演出。
嫌になったのは、蕎麦屋の親爺よ!昨日初めて知ったのに、得意顔で説明してる。
「ああ、これですか、これなね、オヤマボクチっていうんですよ。この葉っぱは、そばの繋ぎに使われているんですよ」騙すつもりは殊更ないが、得意気に説明した後で、知ったかぶりの自分に些か幻滅したね。
なんだい!てめいだって、昨日初めてこの花にお目に掛かったっていうのに・・・・・・・・・・。
世の中、こういった類の知ったかぶりが、結構あるんだね〜。
まあ、嘘じゃないだけ救われて、知ったかぶりの自分自身に幻滅してる。変な話、ようわからん?
ところで、今朝生けたこの瓶の中には、昨日まで、紅花が飾られていたんだね。
実はババが、ドライフラワーを作っていたんだね。そいつが、程良い仕上がりになったから、そっくり片づけて、後に生けられたんが「オヤマボクチ」ホントに良いタイミングよ。
してそのドライフラワーだが、すぐ前の吊し籠に、タップリ飾られた。暫し華やいだ牧之庵の内玄関、秋もたけなわだね。