★ 親爺のぼやき
しかし、暇になったなあ〜。蕎麦屋を6年もしているが、こんなに極端に客足の落ち込んだのは、経験がないね。県外のお客さんの足が、激減したね。来月から、ガソリンがまた騰がるそうだ。参ったね〜!小麦粉の再々値上げ、そば粉の値上げ、醤油や食用油、ガスや灯油等々、このままだと、電気料も値上げするという。顔を合わせば、嘆き愚痴を零す同業者の面々、そうこうしている内に、今年も半分が過ぎたが、諸物価の高騰は止めどない。店のメニューも値上げしたいが、こう落ち込んでは、それもし難し、それにしろ、ガソリンの高騰には参っちゃったね。もう、勘弁してくれよ!ボチボチ行くにも限度があるね。愚痴の一つも言いたくなるぜ。闇夜に蛍よ飛んでこい。ホ、ホ、ホタル飛んでこい。不況の闇夜を照らしておくれ。
♪ 蛍に感激!
ぼやきの世界とは、全く違って、幻想的な癒しの世界。土曜日の夕方、閉店時間近くなって、いつも、ご贔屓いただいている関東のお客さん家族がお越しくださった。ちょうど、蛍が飛び交う時間帯、ピークは過ぎたが、それでも数匹の蛍が飛んでいる。ご両親に連れ添ったお嬢さんが、その光景をご覧になって、「あ!蛍が飛んでる!」って、頗る感激の様子だったんだね。常連さんだから、ババがお席で雑談、数日前に紹介した、隣村の蛍群生地の話を切り出したんだよ。蛍は、8時頃からが、最も飛び交う時間帯なんだそうで、そんならば、是非観たいって事になって、車でお連れしたんだね。
20分ほどして、帰って来られた。「どうでしたか?いっぱいいましたかね?」と訪ねると、「ええ!凄かったです。生まれて初めて観ました。もの凄く幻想的な世界、もう感激です。有り難うございました。」って、もの凄く感激して興奮気味だったね。ああ、それは良かった。喜んでいただけて。
ババに聞いてみた。「どうだったんだ?多少は観れたんか?」、「うん、最盛期は過ぎちゃったから、一時期ほどではなかったが、それでも沢山飛とんでいたよ」。
僕も何度か観てるけど、真っ暗の中を、辺り一面に飛んでいる様を観ると、吸い込まれそうな幻想的な世界、近所の人は、毎夜鑑賞する人もいるそうだが、分かる気がするね。この世の出来事なのって、錯覚を憶えるくらいに、無になって癒される。こんな時代だから、余計に貴重な時間だね〜。そんな世界、いつまでも大切に、そっと見守って欲しい、数少なくなった貴重な農村風景、別世界だ。