秋虫が夜長を奏でる。
二十四節気の処暑を過ぎて、まさに暑気退き、気が付けば秋の中にいる。
昨日まで、直ぐそこにいた夏も、彼方に去った。
秋風が稲穂をなびかせ、一雨ごとに秋の深まりを憶える。
葉月も最後の週に入った今日、牧之庵は埼玉からの団体さんをお迎えして、瞬時だが忙しい一時。
とある市の農業委員会の御一行様だ
。承ったメニューは全員が「ぶっかけそば」、全部出し終えるのに40分も掛かってしまった。
一回の茹でと、盛り付けで約5分、茹で回数も8回。最初のお客さんが食べ終えても、最後のお客さんには、まだ供せない。
仕方ないんだよ、茹で釜が1ヶ所しか無いからね。
それにしろ珍しい、これだけの大人数なのに、うどんが一つもなく、皆さんが蕎麦だけなんてね。
でも、お一人だけ蕎麦の苦手な方がいらっしゃったようなんだね。
最初から食が進まなかったらしい?なんか申し訳ない事をしたようだった。
事前に、申し出が無かったから、お出ししたが当方の説明不足だったらしい。
うどんもありますって、前もって説明すればよかったんだね。独りよがりで悪いことしちゃったみたいだよ。
最初に食べたお客様は、時間をもてあそんで外に出て散策(時間潰し)、お陰で舞台裏まで覗かれてしまった。
お隣の屋敷まで散策されたみたい。数人のお客様が、外に出た僕にいろいろと話し掛けてきたんだね。
今夜は、同市内のお宿にお泊まりとのこと。
市の所有の大型バスでお越しだが、牧之庵の駐車場には大型バスはちょっと無理、近くの会社の駐車場を借りた。
農業委員会って懐かしい響き、僕も十数年前に2期6年間務めた事があるんだね。
今日のお客さんにも、そんな話もしたね。だから、どんな仕事をするのか熟知してるんよ。
この人たちも農家だから、余計に屋敷回りに興味があったんだね。畑に何が植わってるか、田圃の稲はどんなかな?ってね。
今日は、昨日と違って些か気分よく終えたね。なんか、懐かしい昔に返ったような気がしてね。
すっかり日が短くなって、夜のとばりが下りるのも実に早くなった。