巡る、巡る、急ぎ早の春の訪れ。
記録的な少雪で、周りの植物も戸惑いを隠せない。
普通であれば、未だスッポリと雪の下に埋もれる蕗の薹、拍子抜けの春の訪れに間に合わないようだ。
土の中で眠そうに眼を開けたが、何が何だか分からなそう?
「なんじゃい、もう春かい?そんなことはないだろう?それにしろ上は明るいし、頭が軽いんだよな〜」
実を言うと、地中での準備が間に合っていないんだ。頭を出そうにも冬仕事が間に合わない。毎年、同じ工程で準備をしているから、そう勝手に春を寄こされても迷惑ってもんよ。
地上でも同じだよ。それでも地上では直接周りを確認できるから、それなりに準備をしてきたけど、今年は楽々と休める暇もなかったよ。
渋々ながら、早起きの雪柳が目を覚ました。まだ寝不足で寝ぼけ眼?
ユキヤナギ マンサク ワサビ
水の中では、ミズバショウも目を覚まし、取りあえずの花を咲かせる。周りが騒々しいから、みんな起こされる。
ミズバショウ アジサイ ボタン
「何だよ!どうしたってんだ?楽々寝かせてくれよ!」
何処の世界も、異常気象に振り回されて、大変の様だ。
取り分け寝ぼすけの紫陽花が大声で叫んでいる「おい、静かにしろよ!今何刻だと思ってるんだ」
そうは言っても、自分だって知らずのうちに芽を出してる。他人のことを言えたもんじゃなかろうに。
隣で牡丹が呟いた「みんな何にも知らないんだね。今年の自然界は異常気象で大変なんだ。何でも、百年に一度の異常気象だそうよ。そんなにゆっくり構えていたら、蕾も付けずにお陀仏じゃ!」