暫く前になるが、我が家で購読している新聞に、月何回かの地方(魚沼)版が折り込まれる。その紙面にシリーズで江戸時代の塩沢が生んだ文人、鈴木牧之が書いた「北越雪譜(ほくえつせっぷ)」の現代編集版が紹介される。
ここで掲げる事は、数日前に戯言を綴った小生のブログ「田舎床屋の漫画昔話」で、「雲洞庵の化物」なる民話を紹介した直ぐ後のこと。
これは、鈴木牧之記念館が現代風に編集して発行した「江戸のベストセラー、北越雪譜」という書籍の一節を紹介したもので、より詳しく牧之が書き記してあるのでご紹介したい。
漫画はこちらから→http://d.hatena.ne.jp/bokusian/20090716
改めて、鈴木牧之の調査収集能力には驚かされるが、同じ民話でも、語り継がれる内容には、多少の違いが見られる。それは人から人へ、次々に語り継がれ、場所により、人により、伝承されるから、ごく当たり前のことだろう。
北越雪譜は、文字として当時の民話を残しているが、田舎床屋(南雲氏)の昔話は、その後も語り継がれて今日まで来ている。
この間にも、多少の変化はあったのかも知れないから、この時点で漫画に残したのは、この先を考えると貴重なことじゃなかろうか。
先日、別の民話に出てくる(滝谷という村の住民)人が牧之庵に来て下さった。たまたま小生の戯言をご覧になったそうで「ブログで村の民話を見ました。だんだんと、昔話を知らない村人が増えてきた中で、漫画によって紹介されることは、有り難いことです」と、喜んで下さった。
北越雪譜の時代に牧之が耳にした事と、現在、南雲氏が村の長老から聞かせて貰って描いたものとは、登場する化け物自体が違っている。一方は大猫で、片方は大ムジナであったり、季節感等の相違点はあるにしても、雲洞庵に保存されていると言われる「血の付いた袈裟」の話から、語り継がれてきた民話でもある。