「つる」を使って様々な作品を作り始めてから早三年が過ぎた。
牧之庵の開店時に以前勤務していた仲間からお祝いに幾つかの作品を戴いた。
その時は自分で作ろうなんて考えてもみなかったし、思いもつかなかった。
彼は特別器用な人で、何につけてもセンスがあり、豊かな感性を持った人だったから余計そう感じたんだろう。
その後、暫らく経ったある日、行きつけの理髪店に行った。
正面の壁に吊した花瓶のカバーが何とも素朴で野趣味溢れ、興味津々。
なんと、奥さんの最近の作だそうだ。即座に「もしかして、おれにもできそうだ」と直感した。
奥さんを呼んでいただいて、ポイントだけを教えていただき、編み方の参考にと簡単な籠を一個いただいて帰った。
幸いにも、時季は秋だったので早速、つる採集に出掛ることにした。
採集時期は秋、葉っぱを落とし始め、水の吸い上げを止め、冬籠もりに入ろうとする頃が適期。
材料は使う分だけ水に浸し、時間はつるの種類、乾燥状態等によって判断、要は軟らかくして編み易くするためだそうだ。
こんなところが教わった主なポイント。
参考に戴いた一個の籠を振り出しに試行錯誤でいろんな物を作ってきた。
大した物は作れないが数だけは200点は悠に超えた。
作品の大半は興味のある方々に、やや強制的に差し上げたが、さぞかし迷惑な方もいらっしゃった事だろう。
このまま編み続けると犠牲者は更に増えるんだろうなあ。
今年の冬は大雪で悪戯は出来なかったが、暖かくなってきたので、また余暇を割いて楽しみたいです。
つるの種類は「あけび」が主体。ほかに「くず」、「ふじ」を使っています。
編み物の様に一糸乱れずみたいな、形にはまった物は好きでないし、作れもしないので、おもうがまま気の向くままに遊んでいます。
材料も老若、太細はお構いなし、自然界からの戴きものですから必要なだけ、吟味せず残さず完全に使い切ります。
採取木も、一ヶ所に集中せずに分散して採ってきます。
この次も分けて貰う為に。
大切に。