昨日は、朝から村内の葬式があり、終日助け(お手伝い)に行っていた。
牧之庵は、何時も勤務している娘が長男の遠足でお休み、代わって近所のおば連二人の応援をいただいてババが営業した。
こんな時に限って世の中は、皮肉なもんで通常日よりはお客さんの入りが良かったようだ。
近年は、セレモニーホールなるものがあって、金さえ出せば至れり尽くせりのサービスで、煩わしさから解放されて事が出来る。
今回の葬儀も、家庭の事情があって、ここで行われた。
農家の場合は、自宅葬が一般的で、セレモニーを考えて自宅も広い間取りで造られている。
こういうところですると、手伝いの要員も半分以下で済む。
村の小さな我が集落は、自宅葬だと一軒一人の助け(手伝い)が習慣になっているが、今回の場合は、初めての事で村の役員の諸侯のみで執り行われた。
僕は、役員ではないんだが「帳方(帳方)」といって、記帳会計係の役目を仰せ付かった。
この辺では、昔から大福帳の様な和紙の綴りに、諸掛かりを筆で書いてきた。金を扱うから、この係は二名と決められ、受付係が頂いた香典、供物を記帳集計して、諸掛かりを支払い、最後に喪主に収支報告をして受け渡す迄の役目。
大体、9時頃から読経が始まり、出棺が11時頃になるが、身内の親族が火葬場に行き、再び骨拾いに行って帰る迄に、寺参り(菩提寺にお布施等を持って挨拶に行く)に持参する物を用意しておかなければならない。
目録を書く、持参する物とは「線香、蝋燭、お酒(清酒2升)、野菜(5千円位)、膝付き料(字の通りで、親族が寺参りに行く人数に見合って、大体1万円程度)、お布施(お経料として、宗派により多少の違いはあるが、概ね30万円以上)、お花(切り花)である。また、菩提寺の他に、外寺から応援を頂いた僧侶の人数に合わせ、各々にお布施(日当)を包んで用意しておく(一人7万円程度)。
従って、この「帳方」なる係は、非常に忙しいし、責任重大な役目なのだ。
身内の親族が寺参りから帰ってきて(最近は、納骨を済ませる家が多くなった)夕飯「(御大儀(ごたいぎ)という」は4時から5時頃から始まるが、喪主との引き渡しが終わるまでは、御大儀にはならない。
だから、お客さんの数が特別多かったり、お金が合わなかったりすると大変な事だ。
今の時代に和紙に墨?、と思われがちだが、長期保存には、これに勝る物はないんだろう。パソコンで打ち込んで保存?と考えたがるが、果たして保存状態にどれだけの確証が有ろうというのか?昔ながらの紙と筆、今のところ葬儀屋も一式揃えて持ってくる。
この世界は文明の域はなしか。