7日、定休日の午後遅くなってから、生け花の材料を採りに何時も行く山に行ってきた。
おそらく、今年はこれが最後の採り納めになるだろう。山頂部は紅葉も終わりに近く、樹木は落葉が進んでいた。
木々の葉が、いっぱいに茂っている時期には、取り分け目立たなく、何の変哲もない木々でも、この時期になると、一際存在感を誇張する奴も現れる。
他の仲間が、すっかり葉を落とす中で、派手に赤い実を付ける木々は、遠くからでも直ぐ目に留まる。
ガマズミやナナカマドは、実こそ付けているが、一寸触れると肝心な実が落ちてしまう。
そこで、目に留まるのが、この日採ってきた「アズキナシ」だ。
途中で、ツルウメモドキニに出会った。既に、オレンジ色の表皮は剥がれ落ち、赤い実が少し薄暗くなった野に、はっきりと目に付いた。
初めて発見した自生場所、いっぱい蔓を這わせて、見事に赤い実を付けていたが、少しだけいただいて来年用に残してきた。
僕の知っている自生箇所は、これで2ヶ所目、新しい発見が出来た。
さて、採ってきた「アズキナシ」だが、ナナカマドの仲間らしい。
それほど沢山自生している樹木ではなく、希にこの時期だから、発見できるものだが、見事に付けた赤い実は、暫し見とれてしまうほどだった。
僕が、何時もお世話になっている山は、クルミもいただいてくるところ。
通い慣れてる場所だから、何処に何が生えているかも、一目瞭然なのだ。
「アズキナシ」の木は、少し高木なので、生け花用の小枝を採るには、木登りを要する。
いつもながら、木によじ登って小枝の選定をしていたら、中年の夫婦が下ってきた。
紅葉見物の帰りらしい?山道には、僕の軽トラックが停めてある。荷台には、ツルウメモドキや、ナナカマドが乗っていた。
車を発見して、荷台の赤い実を見付けるや、車を止めて降りられた。やがて、木登りをしている自分を発見して仰ぎ見る。
この方も、赤い実に興味があるらしい?「よかったら、一枝切って差し上げましょうか?」、木の上から尋ねた。
「いや〜悪いですね。御難儀しているところ、折角ですからお願いできますか?」、手頃の枝を3本切って落としてやった。
「まあ〜綺麗!お正月まで持ちそうね、有り難うございました」。ご丁寧にお礼を述べて下って行った。
僕も毎年切り採っているこの木、余計には切らずに持ち帰る。
池の中に一晩置いて、翌朝ババが玄関先に生けた。今年最後の山の秋の生け納め、晩秋から初冬をババが生ける。
最後は「アズキナシ」で、楽しませて貰った山の材を締める。