牧之庵の玄関を入って、直ぐ正面に「皆さんの趣味のコーナー」がある。
もう何度となく御紹介してきたが、ほんの4畳ほどの狭いスペースに、レジ場と、ババの生け花コーナーがあり、その一角に棚を設けて皆さんの趣味の作品を展示してある。
友人や知人等の趣味の作品だが、今までに御紹介していなかった作品が数点残っていた。
☆木工細工(桐材を使って魚野川の鮎)
本職は建具屋さん、木工の建具(主に襖や障子戸等の木製戸を製作)を作るのが本職だから、細かい仕事はお手の物。
趣味は渓流釣りと、メダカやタナゴを飼うことらしい。
長年培った釣り仲間は、遠方からも多く、牧之庵にもお客さんとして御紹介いただいている。
職人としての腕は一流で、感性が豊かだ。牧之庵の店舗改造には、そのセンスを沢山頂戴した。
例えば、玄関の潜り戸に立て込む障子戸だが、昔の戸枠に合わせて違和感なく、軽く開け閉てできる様に作っている。
取っ手の部分は、やはり桐材で、木目模様と虫喰い穴、腐蝕穴や奇形を上手に使って、遊び心で作り上げた。
古い物の良さを巧みに蘇生させ、既存する物と違和感なく調和を計り、見事に融和させるセンスは、基本的に体得した確かな技術と、天性の豊かな感性が作り出す職人の技。
☆ひとは見掛けによらぬもの(繊細な作風から)
スキー場の近くで民宿を営む農家のご主人。
氏の風貌からは、まさか絵画を嗜んでいるなんぞは、微塵も感じられなかった。
後に、切り絵も始められたとかで、牧之庵の開業時に数点頂戴した。
我が家とは、遠い縁戚筋に当たるが、温厚で物静かな語り口の中に凛としたところを見せ、ときに繊細な一面を備えている。
細やかな作風からは、真面目で繊細さを垣間見れるが、「人は見掛けによらぬもの」である。
年々、円熟味を増して作品も良い味が出たようで、公共の場に展示されたのを拝見したことがある。
何処までがプロの領域か、素人の趣味の域かは、ド素人の僕等には見当も付かないが、所詮、作品の大多数は素人の目線で判断されてしかる物。だとしたら、プロと素人の領域なんぞはなかろうに?
素人が見て、感心する物はいい物だろう。
趣味とは、そんな物、自分で楽しんで満足できればそれで上々。
それにしろ、これらの作品は、ド素人の目線から見れば、プロの域だ。