以前のブログで牧之庵の「暖簾」について、何回かご紹介した。
牧之庵は、開業以来四季それぞれに暖簾を取り替える。
今まで秋用の「茜色」を掛けていた。
今日は大安なので冬用「焦げ茶色」の暖簾に掛け替えようとしたがババが保管している場所に見当たらない。
クリーニングに出したのでは?と問い合わせたがその形跡はないようだ。
仕方がないので見つかるまで掛けないことにした。
初雪が降ったこの時期に、年中同じ暖簾ならばまだしも、まさか紅葉の朱色の暖簾では季節感覚がおかしいからだ。
ブログを始めたのが3月だから、冬用の暖簾は紹介してなかった。
今まで写真を撮ってなかったから出来なかった。
掛けなければそれでまた違和感がないことに気付いたが、「暖簾」の持つ伝統的な意味合いと歴史を探ると、タブーや形式格式などにはこだわらない自分だが、そうも言ってられない物らしい。
「暖簾分け」という言葉がある。
丁稚奉公をして一人前の腕を磨き、主人に認められれば同じ屋号の店を出して貰ったり、名前や家紋を使うことが許される。
「暖簾」は、その「店の顔」であり、長年培った信用、格式なのだ。
本来は、雨風や防暑防寒、目隠し的な実用品として使われていたようだが、現在では、一般家庭の出入り口に下げられ、間仕切りやインテリアの一部として使われている。
日本独自の文化だそうで、使う場所や業種、形状、染色、素材等によって、長さや種類、呼び名まで違ってくる。
我々の蕎麦屋関係の暖簾は、一般的な暖簾(三尺)、半暖簾(尺5寸)が多く、店の看板となっている。
ちょっと探ってみたので名前だけ幾つかご紹介します。
のれん、半のれん、長のれん、水引のれん、縄のれん、珠のれん、管のれん等々ある。
掛ける場所によって、間仕切りのれん、花のれん、鯨のれん、絵のれん、座敷のれん、帆のれん、潜りのれん等々。
暖簾は店の顔、看板であると言われると、店を張っている限りは掛けないわけにはいかないのか?
形式にはこだわらないが、暖簾の意味合いには納得した。
色は褪めても奇麗に手入れされ、きちんと掛けて置くことにする。
「いらっしゃいませ」「有り難うございました」「またお越しくださいませ」と店頭で挨拶をしてくれるんだろうから。