昨日から秋のお彼岸に入ったね。
当日の早朝、90歳を過ぎた母親が仏壇を念入りに掃除した。掃除したって言うより、して貰ったんだね。
もう高齢だから、今日は幾日で何の日なのか?なんて事は、全く関係ない世界に入ってる。
「婆ちゃん、明日からお彼岸だすけ、あさげ起きたら仏様の掃除してくんねかい」って、頼んでおくんだよ。
「ああそっかい、はあ、あしたっから彼岸になるがかい」
仏壇の前に置かれる仏具は、あらかじめ僕が取り除いて、埃払いや、壇拭きをして貰った。お盆に綺麗に掃除してあるから、それ程の汚れもないが、仏壇の掃除は母親の仕事と決まっているんだね。
「ほらい、直ぐやっけ(お世話)になる場所だすけに、綺麗に掃除しらっしゃい」冗談交じりに言うと「だすけない(そうだね)ハハハハ」しっかり聞こえたようだ。
お盆と、春秋の彼岸には、床の間の掛け軸を「観音様」に掛け替える。以前からの我が家の習慣で、牧之庵を始めてからも変わらず行うことにしている。
通常の営業中は、店内を少しでも広く使おうと、机前の座布団は片づけて置くが、この時期は仏様のお参りに来られるから、座布団を敷いて衝立でカムフラージュ。
まあ、お客さんには失礼だが、居住併用店舗だから御容赦いただいているんだね。
勝手な解釈をすれば、実際の農家の生活感をそのまま味わって貰えるって事で・・・・・??
だから、営業中でもお参りに来られる人もいれば、そばを食べに来られて、序でにお参りしてってくださるお客さんもいなさるのよ。
お昼には、お客様と一緒に、そばや、うどんを茹でてお供えするんだが、「チ〜ン」と、鐘を叩くから、不思議がったり、面白そうに覗き込む方もおられるのよ。
仏壇が置かれている部屋は以前の「茶の間」、現在は牧之庵の客間として使ってるから、この時期は生活感がそのままって感じなんだね。
ご先祖様も、初対面のお客さんが来てくださるから、喜んでくださってると思うんだ。
ちなみに、昨日のお昼には天盛りそばをお供えした。今日はうどん、明日は温かいメニューを始めるから、それでもお供えしましょうかね。
「な〜んか、親戚の家のお彼岸参りに来たって感じだね〜」そんな声も聞こえてくる。
「おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まにはんどま じんばら はらばりたやうん」光明真言