毎年、10月下旬から11月上旬の日曜日に掛けて、集落の主要行事の「秋の共同作業」が行われるんだね。
今年は、昨日実施されたんだね。
主な作業は、用排水路の掃除、農道の補修、神社や集会所の雪囲い、遊具の撤去等だが、主体は用水路の掃除なんだ。
朝8時から作業が開始されるが、事前に担当者が用水に流れる水を止めてくるんだね。作業が出来る状態まで、完全に水が引けるには、数時間を要するから、それを見定めて、間に合うように止めに行くんだよ。
(←ちなみに写真は、牧之庵の田圃沿えに流れる用水路)
写真は、用水路を掃除している状況なんだが、側面に苔や藻が蔓延って、川底や桝底には、土砂や浮遊物が堆積しているんだね。
1年間の汚れを奇麗に掃除して、これから迎える冬の消雪水、防火水、養鯉用水等に欠かせない大切な水利の確保なんだよ。
作業は例年半日興業、終わってから集会所で慰労があるんだ。
僕は営業があるんで、作業が終えると直ぐに失礼して帰って来るんだね。
牧之庵の店の前に流れる小川も、庭先の流れも、すべてこの用水を流れてくる水なんだ。
昔は、村の到る所に清水が湧いていて、それを源水にして生活が営まれていたんだよ。何処の家々にも、生活用水として小川が導かれ、家の一角に屋根付きで洗い場が設けられて居たんだね。
いつしか(はっきりと記憶にないが、おそらく昭和20年代後半頃かな?)水道が引かれて便利になった記憶が鮮明に残っている。
僕等の村落は、地域でも一番低い場所に位置してるから、地下水が高く、水が豊富なんだね。だから、流れ水は飲まなかった。何処の家でも井戸があって、飲料水はそれを利用していたんだよ。それも、水位が高いから、つるべや、手上げボンプは不要で、直接バケツやヒシャクで汲まれたんだね。
戸籍上は「大木六新田」って部落名なんだが、どういう訳か昔から「古川(ふるかわ)」と呼ばれてる。どちらかと言えば「古川」の呼び名の方が、広く一般的に通用しているが、戸籍上は存在しないんだよ。
勿論、郵便物もそれで届くし、公の文書もその名で届くこともあるんだよ。
良くも悪しきも、古くから川に縁が深く、水が豊富って事から、そういう名前で呼ばれてきたのかね?
牧之庵に訪れるお客さんの多くが、水の贅沢な使い方に驚かれるんだ。家の周りが池だから、不思議がっておられるが、これも雪国の消雪の手段、屋根から滑り落ちた雪を消すためなんだよ。
それも、水があって出来ること、有り難い事なんだね。
前の池と流れ
裏の池 側面の池
家の周りが水だらけ、排水路には一滴でも捨てずに、循環して下流では元の小川に還水してるんだね