牧之庵の庭先に発生した茸(アマンダレorクズレor本名はナラタケ)のこと。
今シーズンの天然茸の初物、ほんの僅かだが数日前に採ってけんちん汁にしてゴチになったよ。
お盆前に襲った豪雨で、おいらの知って限りの茸の発生する場所は尽く押し流されてしまったんだね。
しかし、このシーズンになると茸とクルミが山が呼ぶんだよ。おいで、おいで、ってねえ。
そんなわけで、兎に角、茸を求めて山に行ってきたんだよ。だけどね〜、そこは見るに忍びない悲惨な光景、沢って呼ぶような、そんな姿じゃないんだよ。そう、川原だね、沢が土石流で押し流され、土だけが流れてゴロタ石だけが残って平らになってるんだよ。ちょうど良い案配で腐りきって、適度の水分の中で増殖した茸の菌がものの見事に洗い流されていたね。
まあ、ここまで完全にやられたら、もう、どうしようもない世界じゃね。
自然の凄さ、人間の力なんか、ほんの一瞬で消えてしまう。長年コツコツと積み重ねてきた災害対策工事だったが、よ〜く見ると堰堤は倒れ、根が洗われ機能不全、災害でその都度施してきた復旧工事の痕跡も無惨に流され跡形もなし。
一瞬、あまりの変貌に唖然と佇み言葉も失った。
茸は完全に諦めて、さて帰ろうかとした矢先に災害から免れたクルミの木の下に、やや〜!敷いている様に落ちている「クルミ、胡桃、くるみ」、そりゃもう、ビックリするくらいに落ちてるんじゃね。
草藪が全く姿を消して、新しく出来た一面の川原、落ちたクルミは、なんの障害もなく、さあ〜拾ってくださいと一目瞭然、夢中で拾ったね〜。
諦めていたクルミだが、シーズンを終わってみれば、そこそこに調達できたわい。でもこれ、親爺の仕事が増えたってわけ、洗って、乾かして、これまたひと苦労なりよ。
山が呼ぶ、親爺を呼ぶ、おいで、おいでってねえ。
ありがたや、これでまた、お客さんにお出しできるわい。