牧之庵の「そば」は今のところ落ち着いた。
開店準備中からこの方、そこそこ満足できる「そば」は本当に数回しか打てていない。
落ち着いたと言っても完成した訳ではない。
たかが「そば」、されど「そば」。
開店後、四年足らず、千数百回は打ち続けた勘定になるが、未だ、首をかしげて試行錯誤の繰り返し、この世界に終わりはないと痛感する。
趣味で打っていた頃は、ただ一連の工程が楽しかっただけで満足の世界だったが、商売となると、そうはいかないし、仕掛かった以上は意地もある。
此れまでのところ要約にして牧之庵が求める、牧之庵らしい物が見えてきただけ。
おそらく一生、首を傾げ続けているんだろう。
それにしても、なずかしい世界に足を踏み込んでしまった。
まして、この初老の身で?☆○±×φθ・・・・。