☆木鉢(こね)の手順
「木鉢」と書いて「こね」と言います。
そばを打つ容器、木の鉢も「木鉢」と書いて「きばち」と言うんですね。
一般的には「こね鉢」と言ってます。最初の打つ操作の「木鉢(こね)」は当て字でしょうね?
一口に木鉢と言っても、いくつかの作業工程があります。
昔から、そば打ちの基本は「包丁三日、のし三月、木鉢三年」とか、「一鉢、二延し、三包丁」と、言われるように木鉢の過程が一番重要で難しいと言われてきました。
木鉢の中でも「水まわし」と呼ばれる作業が一番難しく、そば打ちの最も重要な、そばの善し悪しに直接影響する作業です。
①材料の準備:そば粉、割り粉(小麦粉)は分量を計ってこねバチの中でフルイに掛けます。つなぎに使う材料も用意します。
②加水・水まわし:水まわしは3回くらいに分けて行います。1回目の水まわしのの時に「つなぎ」に使う布海苔の液状に溶かした物を最初に加えます。水は必ず粉の上にかけ、鉢の肌が水に濡れないように粉全体に行き渡らせます。粉がしっとりと水気を含んだ程度。大切なポイントは、力を入れずに指先だけで混ぜることです。手の甲が汚れるようではいけません。汚れるって事は練っているからです。指先にちょっとつく程度です。2回目を加水します。要領は一回目と同じです。パン粉くらいの状態にします。3回目は振り水程度の感覚で行います。段々に粒々の粒子がくっついてきます。これ以上かき混ざらない状態で完了。一方にまとめ、手についた粉を落としながらまとめます。「水まわし」は水をそば粉と均一に結びつける作業で練りでは無いんです。一番失敗しやすいのが、最終段階の加水です。この段階だと、粉自体は充分な水分が吸収されていますから、最初の段階とは違うんです。ちょっとの加水で入れすぎになっちゃいます。これで良し、という一歩手前で控えると丁度良い状態になるんです。
③練り・くくり:これからが練りです。体制を整えて、両手の手のひらを使って内側に折り込むようにして粘りをだしていきます。この作業は、写真や記述では説明しがたいです。耳たぶくらいの柔らかさになるまで練ります。しこりがないように均一に練ります。何か?を想像して、柔らかく、ツヤが出てきます。
適当な柔らかさになったら、「くくり」に入ります。
写真は「くくり」が終わった状態です。最後に手の甲で押してお供え餅の様に形を整える。これで「木鉢」が終わります。ちなみに、牧之庵の一回の玉の重量(打ち量)は4,5㎏〜5,0㎏程度でしょうか。25人前後です。
☆延し(のし、のばし)の手順
ここからは、こね鉢から打ち台での作業になります。
①丸出し:こね鉢でお供え餅状にした玉を打ち台にのせます。打ち台には打ち粉を振って、玉にも振っておきます。両手を使って手の甲で押しつぶすように丸く広げていきます。玉の大きさによって、厚さは違いますが1㎝〜2㎝くらいでしょうか。大体均一に丸く広げたら、次に短めのめん棒で更に大きく、薄く、丸く延ばします。
めん棒を使って丸出しが終えた状態です。
②四つ出し:次は丸い形から四角い形に更に薄く延ばしていきます。これも記述では説明できません。要は、丸状をめん棒で巻き取り、転がしながら延ばす事によって、四隅を外に延ばし作る事です。やや、正方形に仕上げます。
丸出しを終えて四つ出しにするために巻き取った状態です。
四つ出しを終えた状態。牧之庵は打ち玉が大きいので、打ち台いっぱいが四つ出しの極限なんです。これを2分割して「本のし」で仕上げます。
2分割して巻き取っている状態です。
③本のし:四つだしが終わって、更に薄く両面を延ばして厚みを平均に整える事がポイントです。長方形になっていきます。
☆包丁の手順
延ばし終えた生地は包丁で切りやすい大きさ、短く切れてしまわないようにたたみ込みます。たたみ方は、生地の大きさによって様々な方法があるようですが、牧之庵は写真のようにたたんでいます。
たたんだ生地は包丁で容器に収まる大きさに分割して、容器に収め新聞紙を掛け、タオル地を掛けて冷蔵庫に収納。
適当な温度、適当な時間を経て包丁で切ります。適当な時間、保冷することでグルテンの発生が強まり、適当なシコシコ感が増大します。また、包丁の段階で角が立った麺が切り上がります。僕は全くの素人、これまでの5年間で体得した牧之庵の親爺の我流そば打ちの戯言です。
尚、10月19日のブログで一部ご紹介した項目は省きました。