たかが10年ぽっち、と言われそうだが、全くその通りの牧之庵。
その短い蕎麦屋渡世の中には、それなりの裏話と拘り、些かの愛着、とやらが秘めているじゃよ。
何百回、何千回と重ねてきた蕎麦打ち。
麺打ち台、麺棒、包丁、こま板等々、これまでに使ってきた小道具の一つ一つが、我が蕎麦屋人生の足跡なんだね。
十日ほど前に、善光寺に行ってきた。
実は、そば打ちに使う「小箒」が欲しくて、善光寺まで足を伸ばしたって事。
牧之庵を開業後、間もなくして、この「小箒(こぼうき)」に出会った。
牧之庵から、善光寺行きのルートは幾通りもあるが、その時の気分と、目的によってルートが決まる。
善光寺の参拝が主目的か、はてまた別の目的地があって、序でに善光寺にお参りするのか、仏様には申し訳ないが、それはそれで都合ってもんがあるんでね。
今回の主目的は「小箒」、従って戸隠経由で善光寺行きだ。
ある時(かれこれ9年も前のこと)、戸隠経由で善光寺様参りに行ったとき、沿線の産物屋さんで偶然に出会ったんだね。
今回は2本買ってきた。おそらくは、我が蕎麦屋人生で、これが最後の小箒となるだろうね。
最初に買った箒、2回目の箒、3回目の箒、今回が纏めて2本、総じて5本の小箒。
そして、当初からの箒を捨てきれずにいる。
役にたつ訳じゃなし。だけど、そば打ち場の脇に掛けてある。思い入りの深い、我がそば打ち街道の足跡なんじゃよ。
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