牧之庵は自宅で蕎麦屋を開業したから、以前の台所をそのまま厨房として使っている。
そば打ちも、その厨房内で行う。
そば打ちが終われば、打ち台は営業中の用具置き場に替わる。
一般住宅だから、開業にあたっては使い勝手に苦労した。
そば打ちとなると、粉が舞うし、どうしても汚れてしまう。
長年のそば打ち経験から僕なりの効率で編み出した、我流のそば打ちをご紹介します。
今日は「延し」と「包丁(切り)」です。
1回の打ち量は、粉で2,5?、つなぎや水が約1,5?、総重量4,0?の玉を一回で木鉢(こね)ます。
牧之庵では1人前200?ですから、約20人前が一回の打ち量です。
これ以上は延ばせない程に打ち台全面を使います。いろいろやってみて、現在の最適の方法だと思っています。
くくった玉は一回で延ばしますが、大玉のため完全には延ばし切れません。
打ち台いっぱいに延したら途中で半分に切ります。
打ち台いっぱいに延し終えた状態です。打ち台のサイズは1,200×1,500
真ん中から半分に包丁目を入れ、それぞれを打ち棒に巻き取ります。
二分したものは、それぞれもう一度延して、4つに折りたたみます。
「包丁・切り」です。ぶっかけそば用.温そば用は少し太めに切ります。
大入りの時は、普通の盛りでも太い麺をお出しすることがあります。
「今日のそばは太いですね?」と言われます。
そうじゃないんですよ、盛りそば用のそばが底を突いてしまったんです。
太いのは「ぶっかけ用」のそばだったんです。
そば打ち台の下はコールドテーブルになっています。
適温調整でそばは一段と美味しくなります。
牧之庵の親爺のそば打ちは、まったくの我流です。
厨房と打ち台に対応して、年々変化し、現在の打ち方に定着しました。
修行もなし、固定概念がないから自由奔放、初めて見る人は「何だよあの打ち方は?」とビックリするかも知れません。
タブーなんてないんです。
同じ条件で数千回も打ってくると、はじめから形がないから我流が僕のそば打ちの形なんです。
富泉流の極意です?