昨日は青森のりんご農家の木村さんについて書かせていただいた。
余りにも印象が強く残っているので、今日も少し触れてみたい。
木村さんは57歳、奥さんとお二人でりんご農家を営んでいらっしゃる。
成功するまでの8年間は、りんごは全く実らなかったから、当然りんご園からの収入は皆無だった。
キャバレーの呼び込み、便所掃除を1ヶ所500円で負かったり、出稼ぎにも出たという。
成功後、20数年間ひたすら自らが開発した「純自然栽培農法」を実践されている。
「有機栽培」と言うが、木村さんの場合は、生粋の自然栽培で「有機質」に家畜の堆肥は使っていないのだ。
家畜が食べる飼料に科学物質が使われるため、堆肥にも混入するという理由からだ。
有機質はボウボウに生え茂る下草とりんごの葉っぱくらいだ。
病気予防には「酢」を散布するのみ、その散布も大型機械は使わないのだ。
土が踏んづけられて根に悪影響を及ぼすという。
ドングリの木の根元から得た土の柔らかさの状態の再現だった。
「私の栽培は目が農薬であり、肥料なんです」と語っていた。
今年、岩手県の60歳になる元建設会社社長が、木村さんの門を叩いた。
今、懸命の挑戦が始まっているようだ。
何処までも、我慢ができるか、りんごと会話ができるか、バブルを潜ってきた人の新たな挑戦。
木村さんは、惜しげもなく自然栽培農法を指導する。
「答えはりんごに聞け」と指導する。
「技術と心も一緒に伴った人が、プロじゃないでしょうか」と柔和に応える木村さんの「心」がすべてを握る。
期待したい。
あれだけ苦労して体得し得た秘伝を、惜しみなく他人に指導する木村さんだが、教えられても自然環境を再現するまでの苦節を乗り切って、心を一緒に伴うまでの忍耐と努力は並みでは続かないだろう。
それにしろ、すごい人もいるもんだ。