牧之庵周辺の田圃は、田植えが終わってタップリと張られた水面に、ちょびっと緑色の頭だけを出した稚苗が、陽に反射して眩しいほどだ。
間もなくして、水温が上がり出すとあちこちでカエルの大合唱が始まるんだね。夜はうるさいほどに泣き出すんだ。
グア〜、グア〜、グア〜、グア〜、ゲロ、ゲロ、ゲロ、ゲロと一斉に鳴き出したと思うと、一瞬鳴き止んで、また合唱が始まる。
その一瞬の静寂さは、何かもの足りなくてリズムが狂う。
早く鳴き出せよと、言いたいほど耳に馴染んで、馴れてくるから不思議なんだね。
もう何回も紹介してきた「今日の庭先」だが、次々に季節を告げる花々が咲き出して間に合わないほどだ。
何処まで行っても切りがないが、確実に初夏の臭いがする。
多種多様に進化した植物、姿形は似ていても全く違う仲間だったりするから不思議だね。
どっちが真似したのかは定かでないが、極似して紛らわしい奴もいる。
山菜の時期になると、希に間違って食べて中毒を起こした話も聞く。
二つ並べて見比べれば、確かに違いは分かるんだが、単独で判断すると見分けが難しい奴もある。
例えば、下に紹介する同じユリ科の三種だが、ややもすると間違ってしまい易い紛らわしい例だろう。
牧之庵の庭先には「斑入りアマドコロ」と「ホウチャクソウ」が育っている。
☆「ナルコユリ」、「アマドコロ」、「ホウチャクソウ」(三種ともユリ科)
♪アマドコロ(甘野老)
牧之庵の庭先で育つ「斑入りアマドコロ」
牧之庵にあるのは「斑入りアマドコロ」なんだけど、半日陰〜日当たりの良い場所を好むようだね。
繁殖力が旺盛で忽ち増えちゃうよ。此奴が「ナルコユリ」と極似してるんだね。斑入りじゃない奴はホントにそっくりよ。
アマドコロ、ナルコユリは山菜として食用になるんだが、ホウチャクソウは有毒なんだね。
これだけ極似だと、かなりやばいね。まあ〜食べないことだね。
「斑入りのアマドコロ」は、園芸店では「ナルコラン(鳴子ラン)」とか、「ナルコユリ(アマドコロ斑入り)」の名で売られてるから、余計にややこしいんだね。
♪ナルコユリ(鳴子百合)
どうですか?上の「アマドコロ」とそっくりでしょう。
山の木陰に群生しているのをよく見掛けるが、牧之庵では植えていないんだね。どちらかと言えば、日陰を好むらしい。
アマドコロと比較すると、花が1ヶ所からいっぱい下がっているのが分かる。
それに茎の違いが一番わかりやすい易いそうなんだ。
アマドコロは角張って触れると引っかかりがあるのに対し、此奴は円くてスベスベしてるんだそうよ。
それに、アマドコロの茎の中間部以上に稜角(二つの面が交わっている角)があるそうだ。
斑入りの場合は、上部半分の茎の色が紫色なんだね。
下の写真を見て下さい。
斑入りアマドコロ
どうですか?茎の色が分かりますか?花も一ヶ所から2個しか下がっていないのが分かりますね。
それに対し、上のナルコユリは、4個くらい下がってるでしょう。
♪ホウチャクソウ(宝鐸草)
牧之庵で育つ「ホウチャクソウ」
上の2種に比べて、比較的特徴があって分かりやすいんだね。
此奴も日陰を好み、牧之庵の殆ど陽の当たらない場所で旺盛な繁殖力を見せているよ。
真っ直ぐ伸びた茎に上部で枝分かれするんだね。花は枝先に1〜3個ぶら下がってる。
此奴はくせものなんだよ。毒を有してるんだね。
大きくなると枝の分岐で確認できるんだが、小さいうちは分からないんだよ。
希に山菜家がユキザサやギョウジャニンニクと間違えて中毒を起こすようなんだ。
チゴユリの仲間だけあってそっくりだね。毒のあるところも、チゴユリの大型だね。
♪ユキザサとギョウジャニンニク
ユキザサ(左)とギョウジャニンニク(右) 分家の庭で育っている
両種とも、牧之庵の真ん前、分家の庭で育っているんだ。
山菜家がホウチャクソウをこれらと間違って食べる例があるんだね。
よく見れば分かるんだけど、見慣れないと小さいうちは見分けが難しいんだね。
分からなかったら食べない事よ。