降り足らなかったか?
今頃になって、梅雨時期を感じさせる様な連日の雨。お陰で、雨上がりの一時は、エアコンが不要なほどに涼しくなる。
今日の牧之庵は、冷房が要らなかった。時折、思い出したかの様にドシャ降りの雨が来る。
決まって翌朝は、川の水が濁り、店の前を流れる小川の掃除が欠かせない日課となった。
半袖姿でデッキブラシ、入念に流れに敷き込まれた砂利を洗い、沈殿した泥を流し、仕上げに水道のホースを絞って仕上げ洗いをするんだよ。
水気の多い早朝は、藪蚊が大好きな時間帯なんだね。
否応に蚊の襲撃を喰らう。露出した両腕と、首筋が狙われるポイント、終える頃には、何カ所も赤膨れができて、家に入るなり、たまらずムヒを塗る。
そんな一連の作業の中で、一輪の「鬼百合」の花を見つけた。
「おお、咲いてきたか!」毎年、梅雨が上がって、盛夏の時期になると、蕾が大きく膨らんで橙色に色づいてくる。
数日間に一気に開いて、その存在を知らされるんだ。誰が植えたんでもなし、勝手にあちこちに殖えていく。
元来、花の観賞用に植える程のもんでもないが、花の少なくなるこの時期は、目立つ存在だ。
オレンジ色の花弁の内側に、虎模様の黒紫色の斑点を無数に散りばめて、大きく外に反り返って咲いている。
案外内向的で、どいつもお辞儀して、下向きに花を付けるんだね。
元々、花よりもユリ根(鱗茎)が目的で、食用として利用されてきたんだ
煮物やお吸い物の種、蒸し物に供され、特にお正月の料理に利用されてきたんだね。
だいいち、名前からして「鬼百合」だから、可愛い花とは想像もできない。
「オニ」ってのは「大きい」って意味があるらしいから、名前の捉え方が間違ってるんだよね。
可愛そうな「鬼百合」だ。
「梅雨晴れの 風やや強く 吹きにけり 折るかと思う 鬼百合の花」鬼百合を代表する、正岡子規の作。
この花が咲き出すと、お盆が近い。下向きで謙虚な花、大凡鬼とは似ても似付かず。