そば打ちは、湿度の低い朝に済ませるが、5月のゴールデンウィークや、このお盆時期は、朝打ちだけでは間に合わず、お昼の営業を終えてから夜の営業が始まる間に、残そばの状況を確認して追加打ちをするんだね。
特に夏場は、朝から湿度が高い日も希ではない。ましてや、午後からの追加打ちともなると、もう最悪の環境下だね。
正直言って、夏場の蕎麦は、どんなに努力しても秋口の蕎麦には叶わない。
千単位の回数で打ってきた蕎麦だが、毎年、夏場には泣かされ続けてきた。
今も、打ち上がりの悪い蕎麦に頭を抱え、悩まされているんだよ。兎に角、蕎麦は極端に暑さ(湿度)を嫌うんだね。
例え涼しい時に打ち上げた物でも、茹でる時の湿度、盛りつけてからお客さんが食されるまでの時間、部屋の空調の程度等々によっても、別物に変わっちゃうからね。
そば粉の割合が多いほど足が速いんだ。
元来、夏の季節は大好きだが、蕎麦屋になってからは、一番悩まされ気遣いの多い季節になった。
蕎麦を茹でる時に、冷蔵庫から出し入れを頻繁にする。この高温多湿な時期、それだけでも品質が低下しちゃうんだ。
だからといって、厨房が冷え冷えするほどの状態にはできないしね。
生は、見た目では殆ど区別がつかないんだね。
こいつはいけるな、って感ずるのは、茹でて冷水でさらしている瞬間なんだ。
もう、食べなくても分かるんだね。冷水の中で蕎麦が生きてるんだ。
水で洗ってる時の蕎麦のツヤ、手の絡み具合、何て説明したらいいのか?そう、やっぱり生きてるんだね。
元氣がいいのよ、兎に角旨そうなんだね。
同じ材料で、同じ手順で、同じ感覚で打ってるつもりなんだが、微妙に、いや相当違う生ができるんだ。
特に夏場の生は、足が速くなるんだね。
悩まされ続けて6年、今年の夏も悪戦苦闘の蕎麦屋の親爺、早く涼しくなって、秋口の蕎麦を打ちたい。
さもあらんや、一番頭の痛い「お盆」が間近に控える。
この夏こそは、と気合いを入れるが、いまだにムンムン、ムシムシには勝てないようだ。
たかが、蕎麦如きに・・・・・・・・・