昨日の夕方、軽トラックに着物の端切れをいっぱい積んで元氣のいいおばさんが来た。そう、この人が僕に柿渋の作り方を教えてくれた、柿渋の先生なんだね。
ババが友人の所に遊びに行っていたら、端切れを持ち込んだらしいんだよ。友人もそんなには要らないって事で、ババが頂くことになったんだね。
僕は、厨房でそば打ちの真っ最中「お父さん!ちょっと来て、重いから降ろしてよ」、「バカ言うなよ!今そば打っているどこだすけ、手がはなさんねよ」急いで仮くくりしてビニール袋に入れて外に出たんだ。
大きな段ボール箱が二つ、かなり重い。これじゃ女性の力では無理なわけだな。
僕が今、柿渋を作っている最中だということをババが教えたらしいんだね。出来たての柿渋をみてもらったんだ。良い出来だと誉められた。帰りに、去年作って寝かせてある柿渋を試しに少し持って行ってもらったんだ。
さて、その端切れだが、ババは出来上がった作品には興味を持つが、自分では作る意志と趣味がないんだね。今まで、ブログで何度も紹介した、海老名に住むババのお姉さんと、佐渡で「裂き織り」を楽しむ友人用なんだ。
この端切れは、以前に製糸工場をしていた会社が廃業して、倉庫の整理品らしいんだ。
ちょうど、柿渋を弄っている最中だから、染め物用に適当な物がないかと物色したら、暖簾にしたら面白いな?って思う物が見つかった。暇なときに染めてみようと選び出しておいたんだよ。
営業時間を終えて、柿渋を使ってみることにしたんだね。以前、村からガラクタを頂いてきた中に、皮の破れた太鼓があるんだが、まず手始めに、そいつに柿渋を塗ったんだ。柿渋は素手で扱ってもかぶれもしないし、水で洗えば簡単に落ちるから扱いやすくて良いね。
左側が去年、右が昨日作った物 内側も隈無く塗って
塗る前 塗布後(2回塗り)もう2回塗る予定
明日は定休日だし、娘がお産で入院してるから、出掛ける予定もないので、事のついでに蔓籠に塗る予定なんだよ。
最近、後処理が悪い蔓細工に虫が付いた様で、粉屑が下に落ちているのを見つけたからね。
暖簾も、染め直そうかと日干ししたんだ。
つる物は、中に虫が付くと厄介なんだね。忽ち食い荒らしてしまうんだよ。天日干しくらいでは駄目だから、熱湯に浸けて虫を退治して、天日で乾燥させてから柿渋を塗るんだね。
僕は蕎麦屋だから茹で釜を使うんよ。完全に沸騰した熱湯の中で浸すっていうより、少し煮るんだよ。ただ、入らない大きな物には弱っちゃうね。
こうなったら、諦めるしかないね。こういう物は安全上、薬品処理はできないからね。
まあ、真夏のカンカン照りの時期に、スッポリとビニールを掛けて熱中症にして殺すほかないんじゃない?