☆茗荷(ミョウガ)
例年、この時期になると味噌漬けの材料に「茗荷(ミョウガ)」を求めて山に行く。
牧之庵の人気メニュー「そば御膳(蕎麦とゴマ塩おにぎりのセット)」に添える茗荷(ミョウガ)の味噌漬け、おかずとしてキュウリの味噌漬け、昆布の佃煮などと一緒に供される。
一年中利用するものだから、それ相当の量が必要となるので大きな容器に大量に塩漬け(多漬けという)にして、年に数回に分けて塩出しをして味噌に漬け込んで利用する。
牧之庵に蕎麦御膳なるメニューが登場して以来(もう十数年も経つが)、欠かさず繰り返してきた茗荷(ミョウガ)との付き合いだが、数年前から異変が生じている。
最近、朝市や道の駅、一般のスーパーなどで、多くの農家が直接持ち込んだ朝取り野菜や産物が多種多様に並べられる。
特に朝市だが、当初は農家で生産されて、消費仕残された野菜が出品されていた。
規格外で余り物の野菜や切り花は、一般のスーパーなどで売られる物より格安で朝獲りの新鮮度も加わって人気が急増した。
不要となった余り物を出品してきた農家も、出せば売れるの人気を良いことに、出すために作る方向に転化した。
その結果、年中を通して某かを出品(生産する野菜だけでは間に合わず、山菜や山野草、山野の生け花材にまでおよぶ)するために、山にまで「入山禁止」の立て札が出没する。
これまでは考えも及ばないところだが、牧之庵のジッチャマがサービスに供するクルミ、味噌漬けに使用するミョウガにまで、場所によっては「入山禁止」でストップが掛かってきた。
クルミはビニールの袋に僅かに入って「はい!何百円なり」、ミョウガも高い!
すべてが商売、出せば売れるの世知辛ご時世。
個人所有の山林はもとより、共有、国有林までも「入山禁止」の立て札。まあ、山菜ブームで入山者のマナーも悪くなってはいるが、それにしたって異常な状態だ。
お陰でジッチャマは、これまで何十年も人っ子ひとり入らなかった自分だけの世界にまで、「入山禁止」が掛かって戸惑ってるよ。
取りあえずは獲ってきたんだが、果たして一年中使う量が調達できるかは、不測の事態なんだ。